ポーランドの自主管理労組「連帯」は1980年代の東欧民主化運動の先駆となった。だが、共産主義独裁打倒後の現実的な社会の民主化は多難続きであった。今日その果てに、カトリック教徒が95%という保守的風土の中から、「連帯」の流れを汲む“鬼っ子”が産み出された。昨年10月に誕生した、双子の兄弟が大統領と首相の座を独占するカチンスキ極右連立政権がそれだ。早速教育相がカトリック教義や進化論否定を教育現場へ導入する意向を示し、内外から「暗黒の中世への回帰」との憂慮の声が上がった。今は「社会の浄化」を唱え、共産主義者を一掃しようとする新法案の成立を急ぎ、各界から猛反発を受けている。ブッシュ米政権はイラク戦争を支持、参戦したポーランドを新欧州と讃えたが、現政権の実態は「赤狩り」に狂奔する時代錯誤者の集合体である。(ユンゲヴェルト特約)
原題「ホーランドの赤狩り」
トマス・コニクス記者
カチンスキ大統領と昨年10月に首相に就任したその兄が率いるポーランド政府が共産主義者追放のための「魔女狩り」に着手した。政治粛清の動きは拡大し、ジャーナリスト、教育者、法律家にまで及んでいる。
この反民主主義的な動きはさらに強化され、極限に達しつつある。先週開かれた右派連立政権の綱領討議で、ヤロスラウ・カチンスキ首相は「ポーランド国家の浄化をさらに促進する。粛清は(冷戦下ソ連圏に属した)人民共和国時代の治安機関職員の当時の活動まで対象とする」と公言。
最大与党「正義と法」(PiS)のマレク・クチチンスキ党首は19日、地元ラジオ局のインタビューに応え、「浄化推進の立法化を最優先する。これは週単位の問題ではなく、日単位の問題だ」と語った。
▼ 旧体制下の治安担当者を追放へ
これまでに得た情報によると、(浄化促進の新法では)社会主義政権下のUBやSBといった治安機関で働いた経験のある職員には月当り600ズロチ(150ユーロ相当)の年金が付与される見通しである。だが、年金受給資格として過去10年間に公的な活動を一切行っていないことが条件とされている。
双子ファッショ政権でのPiS主導による新法制定はつまるところ、旧社会主義政権下で活動していたすべての治安担当職員を公的機関から強制解雇することの条文化が目的なのである。さらに、国内のすべての通りや公的場所から「共産主義を讃える」名称や標識が除去されることになる。
▼野党、諸団体が猛反発
野党の社会民主主義党(SLD)は最大与党PiSの新法制定の動きを激しく非難して、ポーランド憲法裁判所に対し違憲の申し立てをした。SLDはメディアに対し、「万人が法の下の平等を保障され、全体主義的な拘束から自由でなければならない」と宣言した。
凶暴なPiSによる粛清への抗議を強化しているのは、今や野党SLDだけにとどまっていない。ジャーナリスト、教員、法律家の諸団体が保守主義者の反民主的な陰謀に対して頻繁な抗議活動を行っている。
ポーランドのメディアはポーランド社会に拡大した政府の反共産主義粛清の動向を詳細かつ辛らつに報道している。浄化促進の新法案は幾つかの職業団体に対して、旧人民共和国時代の公安機関と協力して(反政府的な)機密情報を公開するよう義務付けている。
自己機密の告白義務はこれまでポーランドでは政治的な官職に就いている者にのみ課せられていた。ところが今やジャーナリスト、国営企業の経営責任者、国公私立のすべての学校の校長、大学教員、弁護士、公証人、外交官も可能なら協働して機密情報を政府に提供するよう義務付けられつつある。
▼報道機関も標的
ポーランドで最大の発行部数を誇る日刊紙「選挙新聞(Gazeta Wyborcza)」が組織して、幾人かの著名なジャーナリストらがこのような(粛清のための)詳細情報提供のボイコットを宣言、少なくとも70万人規模のポーランド市民が賛同して抗議集会に参加するよう呼びかけた。このキャンペーンには反政府的なジャーナリスト、多くの市民が呼応する見通しだ。
ワルシャワ大学ジャーナリスト学部の協議会は先月、政府の方針に激しく抗議した。「法治国家ポーランドの危機」と題された決議文で、70人の指導的な法学者らがかつてない激越さでPiSの政策を批判した。
法律家らは法を政治的道具にするもの、報道の自由の制限、憲法で保障された諸権利への侵害などと政府方針を具体的に攻撃。決議文はすべての学問的な公開性への支持を呼びかけており、さらに多くの団体、諸機関の抗議運動への参加が期待されている。
▼ 教員らの危機感増幅
ポーランド教員連合ZNPは3月17日に極右連合政権に対する街頭抗議活動を久々に最大級の規模で開催。(カチンスキ兄弟が率いる与党最大会派PiSと連立している)極右政党「ポーランド家族連盟(LPR)」の党首であるロマン・ギエルティフ教育相の反動政治に抗議するため1万2000人の教育者がワルシャワ近郊から市内に向けてデモ行進した。
教員らはデモの際、賃上げ、政治的教義の教育現場への導入停止、教育相の辞任を要求した。予期せぬ大型デモに敏感に反応したミロスラウ・オルチェコスキ副教育相(LPR)は、1905年に創設されたポーランド教員連合内に根を張る共産主義者らによる扇動以外の何物でもないと不快感を露わにした。
原題「ホーランドの赤狩り」
トマス・コニクス記者
カチンスキ大統領と昨年10月に首相に就任したその兄が率いるポーランド政府が共産主義者追放のための「魔女狩り」に着手した。政治粛清の動きは拡大し、ジャーナリスト、教育者、法律家にまで及んでいる。
この反民主主義的な動きはさらに強化され、極限に達しつつある。先週開かれた右派連立政権の綱領討議で、ヤロスラウ・カチンスキ首相は「ポーランド国家の浄化をさらに促進する。粛清は(冷戦下ソ連圏に属した)人民共和国時代の治安機関職員の当時の活動まで対象とする」と公言。
最大与党「正義と法」(PiS)のマレク・クチチンスキ党首は19日、地元ラジオ局のインタビューに応え、「浄化推進の立法化を最優先する。これは週単位の問題ではなく、日単位の問題だ」と語った。
▼ 旧体制下の治安担当者を追放へ
これまでに得た情報によると、(浄化促進の新法では)社会主義政権下のUBやSBといった治安機関で働いた経験のある職員には月当り600ズロチ(150ユーロ相当)の年金が付与される見通しである。だが、年金受給資格として過去10年間に公的な活動を一切行っていないことが条件とされている。
双子ファッショ政権でのPiS主導による新法制定はつまるところ、旧社会主義政権下で活動していたすべての治安担当職員を公的機関から強制解雇することの条文化が目的なのである。さらに、国内のすべての通りや公的場所から「共産主義を讃える」名称や標識が除去されることになる。
▼野党、諸団体が猛反発
野党の社会民主主義党(SLD)は最大与党PiSの新法制定の動きを激しく非難して、ポーランド憲法裁判所に対し違憲の申し立てをした。SLDはメディアに対し、「万人が法の下の平等を保障され、全体主義的な拘束から自由でなければならない」と宣言した。
凶暴なPiSによる粛清への抗議を強化しているのは、今や野党SLDだけにとどまっていない。ジャーナリスト、教員、法律家の諸団体が保守主義者の反民主的な陰謀に対して頻繁な抗議活動を行っている。
ポーランドのメディアはポーランド社会に拡大した政府の反共産主義粛清の動向を詳細かつ辛らつに報道している。浄化促進の新法案は幾つかの職業団体に対して、旧人民共和国時代の公安機関と協力して(反政府的な)機密情報を公開するよう義務付けている。
自己機密の告白義務はこれまでポーランドでは政治的な官職に就いている者にのみ課せられていた。ところが今やジャーナリスト、国営企業の経営責任者、国公私立のすべての学校の校長、大学教員、弁護士、公証人、外交官も可能なら協働して機密情報を政府に提供するよう義務付けられつつある。
▼報道機関も標的
ポーランドで最大の発行部数を誇る日刊紙「選挙新聞(Gazeta Wyborcza)」が組織して、幾人かの著名なジャーナリストらがこのような(粛清のための)詳細情報提供のボイコットを宣言、少なくとも70万人規模のポーランド市民が賛同して抗議集会に参加するよう呼びかけた。このキャンペーンには反政府的なジャーナリスト、多くの市民が呼応する見通しだ。
ワルシャワ大学ジャーナリスト学部の協議会は先月、政府の方針に激しく抗議した。「法治国家ポーランドの危機」と題された決議文で、70人の指導的な法学者らがかつてない激越さでPiSの政策を批判した。
法律家らは法を政治的道具にするもの、報道の自由の制限、憲法で保障された諸権利への侵害などと政府方針を具体的に攻撃。決議文はすべての学問的な公開性への支持を呼びかけており、さらに多くの団体、諸機関の抗議運動への参加が期待されている。
▼ 教員らの危機感増幅
ポーランド教員連合ZNPは3月17日に極右連合政権に対する街頭抗議活動を久々に最大級の規模で開催。(カチンスキ兄弟が率いる与党最大会派PiSと連立している)極右政党「ポーランド家族連盟(LPR)」の党首であるロマン・ギエルティフ教育相の反動政治に抗議するため1万2000人の教育者がワルシャワ近郊から市内に向けてデモ行進した。
教員らはデモの際、賃上げ、政治的教義の教育現場への導入停止、教育相の辞任を要求した。予期せぬ大型デモに敏感に反応したミロスラウ・オルチェコスキ副教育相(LPR)は、1905年に創設されたポーランド教員連合内に根を張る共産主義者らによる扇動以外の何物でもないと不快感を露わにした。
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ベラルーシ、ロシアと断絶し東欧最後の民主化改革へ 2006年12月 |
東欧民主化その後 |
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